AIと対話しながらバイナリを読む――DeepHexプロジェクト始動

2026-08-02T02:47:00.000Z

AI時代のバイナリ解析環境「DeepHex」プロジェクトを公開します

合同会社Indigoは、新しいバイナリ解析環境 「DeepHex」 の開発を開始しました。

DeepHexは、実行ファイルやライブラリなどのバイナリを開き、解析結果を確認しながら、AIと対話して調査を進められる環境を目指すプロジェクトです。

DeepHexを作る理由

バイナリ解析やリバースエンジニアリングでは、逆アセンブル結果、疑似コード、文字列、シンボル、関数の呼び出し関係など、さまざまな情報を行き来しながら対象を理解していきます。

しかし、解析対象が複雑になるほど、次のような作業に多くの時間がかかります。

AIは、こうした情報の整理や仮説の生成を支援できます。

一方で、単にバイナリや疑似コードをチャット画面へ貼り付けるだけでは、解析環境として十分とはいえません。

必要なのは、バイナリ解析ツールとAIが分離した状態ではなく、解析中のコンテキストをAIと共有しながら調査できる統合環境です。

DeepHexは、そのためのバイナリ解析環境を目指します。

DeepHexが目指す体験

DeepHexでは、バイナリファイルを開くと解析画面が立ち上がり、関数一覧や逆アセンブル結果、疑似コードなどを確認できます。

解析中に気になる処理を見つけた場合は、その場でAIに質問します。

たとえば、次のような使い方を想定しています。

AIが解析をすべて自動で完了させるのではなく、人間の解析者が判断するための材料を増やし、調査の速度と解像度を高めることがDeepHexの目的です。

AIに解析を丸投げしない

DeepHexが目指しているのは、ボタンを押すだけで「脆弱性あり」「脆弱性なし」と判定するブラックボックスではありません。

バイナリ解析では、対象の用途、実行環境、入力条件、攻撃経路などによって、同じコードでもリスクの意味が変わります。

そのため、最終的な判断には人間の知識と検証が必要です。

DeepHexでは、AIを解析者の代わりではなく、次のような役割を持つ支援者として位置づけます。

解析の主導権は、あくまで利用者が持ちます。

利用者自身のAIアカウントを活用する

DeepHexでは、AIモデルそのものをサービス側で一括提供するのではなく、利用者が自身のAIアカウントやAPI環境を利用できる設計を検討しています。

これにより、利用者は用途や予算、所属組織のポリシーに応じて、使用するAI環境を選択できます。

また、DeepHex側は特定のAIモデルだけに強く依存せず、バイナリ解析環境としての価値に集中できます。

まずは実用的な解析環境を作る

DeepHexは現在、開発初期のプロジェクトです。

最初から完全自動の脆弱性検知システムを目指すのではなく、まずは日常的なバイナリ解析で実際に使える環境を作ります。

初期段階では、次のような機能を中心に検討しています。

機能や提供方法については、実際の開発と検証を通じて変更する可能性があります。

プロジェクトを公開しながら開発する

DeepHexは、完成してから突然発表するのではなく、開発の過程も含めて公開していきます。

Indigo Blogでは今後、次のような内容を発信する予定です。

バイナリ解析、リバースエンジニアリング、AI、セキュリティの交差点にあるプロジェクトとして、技術的な試行錯誤もできる限り共有していきます。

おわりに

AIによって、ソフトウェア開発の方法は大きく変わり始めています。

同じ変化は、バイナリ解析やリバースエンジニアリングの世界にも起こるはずです。

DeepHexは、AIにすべてを任せるためのツールではありません。

人間がより深く、より速く、より広い視点でバイナリを理解するための環境です。

まだ開発は始まったばかりですが、実際に使える形まで着実に作り上げていきます。

今後のDeepHexプロジェクトに、ぜひご注目ください。